第十五回、Twitter300字SS「夜」
『明けない夜の図書館にて』
「見つけたぞ、天魔書」
深夜の図書館に青年の声が響く。
暗闇に沈む専門書架の奥で、僅かな気配が動いた。
青年は本狩。化本と呼ばれる魔物を追う狩人だ。今回の標的は気象魔術の書だった。
化本は獲物の前に姿を現し、己を読ませてその感動や欲望を糧とする。
「異世界から仕入れた太陽を奪う魔術なぞ見せて、おかげで夜が明けん」
本狩は錠前付きの鎖の本帯を取り出した。
「天才魔道士も失恋する。その度に明けない夜が来ては敵わんからな」
錠前をかけ、青年は溜息を吐いた。大泣きする少女の姿が脳裏をよぎる。
夜は必ず明ければこそ、思い切り浸って自身を癒す時間に出来るのだ。
己の作った常夜に震える少女の元へ。本狩は化本を手に踵を返した。
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色々悩みまくって結局FTになりました。
「夜」という舞台自体をかなり多用する中二患者なおかげで、いざ「夜」を主役にしようと思うと思いのほか難しかったです。これ…主役になってるかしら……。
本狩と書いてブックハンター、化本と書いてブックモンスター。
一週間後くらいに、ニヤリとしてくれる方が何人かいらっしゃれば良いなぁと思います。（意味深）
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